時空論(8) 2015/06/23
- 2015/06/24
- 19:08
L.Sklar『Space,Time and Spacetime』ⅡFの2と3を読んだ。
ここでは前回のPoincareの規約主義に対するA.EddingtonやH.Reichenbachの返答が概観される。
まず紹介されたのは、Eddingtonの著書『Space,Time, and Gravitation』のプロローグ'What is Geometry?'で展開される、実験物理学者、数学者、相対論(擁護)者による対話である。ここでは、幾何学の意味をめぐる3者の論争が引用されていた。
次に、『The Philosophy of Space and Time』で展開されるReichenbachの時空論が、引用を交えて紹介された。Reichenbachは同書で次の2つの概念を導入する。
・対置的定義(coordinative difinition):概念と物体を対応付けるような定義
・普遍力(universal force):すべての剛体、時計、質点の運動、光に同一な影響を及ぼすような場(field)
Reichenbachによると、一般相対論の幾何学(Riemann幾何学)は、普遍力が0になるような対置的定義を採用することによって構築される幾何学だと考えられるという。
Poincareは互いに整合的などの幾何学を現象の記述に用いても、それぞれ異なった物理法則を採用することによって、同一の現象をカバーできると考えた。しかし、EddingtonとReichenbachによると、それぞれの幾何学で異なるのは物理法則ではなく、幾何学に現れる用語(terminology)の(対置的)定義である。世界の幾何学は、どの物理法則を採用するのかによって決まるのではなく、どの(対置的)定義を採用するのかによって決まるのである。
(ⅡF3)では、Poincare的な幾何学の規約性(conventionality)が、計量的(metrical)構造だけでなく位相的(topological)構造が異なるものについても言えるのかどうかが検討された。
ここでは前回のPoincareの規約主義に対するA.EddingtonやH.Reichenbachの返答が概観される。
まず紹介されたのは、Eddingtonの著書『Space,Time, and Gravitation』のプロローグ'What is Geometry?'で展開される、実験物理学者、数学者、相対論(擁護)者による対話である。ここでは、幾何学の意味をめぐる3者の論争が引用されていた。
次に、『The Philosophy of Space and Time』で展開されるReichenbachの時空論が、引用を交えて紹介された。Reichenbachは同書で次の2つの概念を導入する。
・対置的定義(coordinative difinition):概念と物体を対応付けるような定義
・普遍力(universal force):すべての剛体、時計、質点の運動、光に同一な影響を及ぼすような場(field)
Reichenbachによると、一般相対論の幾何学(Riemann幾何学)は、普遍力が0になるような対置的定義を採用することによって構築される幾何学だと考えられるという。
Poincareは互いに整合的などの幾何学を現象の記述に用いても、それぞれ異なった物理法則を採用することによって、同一の現象をカバーできると考えた。しかし、EddingtonとReichenbachによると、それぞれの幾何学で異なるのは物理法則ではなく、幾何学に現れる用語(terminology)の(対置的)定義である。世界の幾何学は、どの物理法則を採用するのかによって決まるのではなく、どの(対置的)定義を採用するのかによって決まるのである。
(ⅡF3)では、Poincare的な幾何学の規約性(conventionality)が、計量的(metrical)構造だけでなく位相的(topological)構造が異なるものについても言えるのかどうかが検討された。
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